ヒューリスティック分析と解析ツールでユーザビリティ分析
ウェブサイトを改善する時に考えることは、「今のウェブサイトにどのような問題があるのか?」ということでしょう。
問題点を発見するために解析ツールを導入してアクセス解析やヒートマップ解析を行っていくのですが、これらのツールだけでは補えない要素があります。
その要素を補うにあたって、ぜひ行っていただきたい分析手法が「ヒューリスティック分析」です。
解析ツールと合わせて行っていただくことで効果を発揮するこの手法を今回はご紹介していきます。
もちろん SiTest との相性もバッチリなので、まずはヒューリスティック分析を知るところからスタートしていきましょう。
ヒューリスティック分析でウェブサイトの課題を発見
解析ツールだけでは見えないことがあります
解析ツールに存在する問題点。
それは競合との比較分析ができないことです。
基本的に解析系のツールはトラッキングコードをウェブサイトに設置して計測していくため、他社のウェブサイトの情報を取得することはできません。
ウェブサイトは、他社と比較して劣ってしまっているという問題を抱えている可能性もあります。
そのため、他社との比較分析(競合調査)は別の方法で補う必要があります。
そこで使えるのが、「ヒューリスティック分析」です。
ヒューリスティック分析とは?
「ヒューリスティック」という言葉は計算機科学や心理学の世界で用いられる用語で、必ず正しい答えを導けるわけではないものの、ある一定の水準を満たしたレベルで正解に近い答えを得る手法を意味します。
特に心理学の世界では、人間が意思決定をする際に暗黙の内に使用する解法、法則を表し、自身の経験に基づいて判断されることから経験則と同じ意味として捉えられています。
ウェブマーケティングにおいては、分析を行う者が自身の経験則を用いて行う主観的なユーザビリティの分析手法を「ヒューリスティック分析」と呼びます。
「主観的」という表現で敬遠されるかもしれませんが、分析者だけで完結できる手法であるため自社も競合他社も含めて相対的な評価を下すことができます。
ヤコブ・ニールセンはユーザビリティの専門家たちがその経験と洞察力によってインターフェース上の問題点を発見するためにヒューリスティック評価法というものを考案し、評価項目として以下の10項目を挙げました。
ニールセンのユーザビリティ10原則(10ヒューリスティックス)
1.システム状態の視認性を高める
2.実環境にあったシステムを構築する
3.ユーザーにコントロールの主導権と自由度を与える
4.一貫性と標準化を保持する
5.エラーの発生を事前に防止する
6.記憶しなくても、見ればわかるようなデザインを行う
7.柔軟性と効率性を持たせる
8.最小限で美しいデザインを施す
9.ユーザーによるエラー認識、診断、回復をサポートする
10.ヘルプとマニュアルを用意する
ウェブサイトでのヒューリスティック分析
ヒューリスティック分析は本来専門家が経験則に基づいて分析する手法ですが、重要なポイントを理解しておけばユーザビリティの分析のために活用することが可能です。
他にもユーザビリティテスト(ユーザーテスト)で実際にウェブサイトの使いやすさをユーザーに確認する方法もありますが、時間と費用を考えるとなかなかそこまですることは難しいのが実情です。
ただ、ヒューリスティック分析にもデメリットがあり、それは分析を行う人間の判断に左右されてしまう点です。
この部分は逆に解析ツールが補える部分でもありますので、うまく組み合わせていくことが重要だということを認識しておいてください。
ヒューリスティック分析を実践する5つのステップ
1.調査チームを組む
デメリットでお伝えしたように、ヒューリスティック分析は分析者の考えに依存してしまいますので、できるだけ評価の普遍性を保つ(偏りが出ないようにする)ために複数名で行うことを推奨します。
人数が多すぎてもまとめることが難しくなりますので、3~5人程度の少人数チームを作り、調査してください。
2.前提条件を確認する
チーム結成後はすぐにヒューリスティック分析を始めるのではなく、まずは前提条件や認識のすり合わせを行い、分析者間で共有を図りましょう。
確認する内容としては、下記項目が挙げられます。
・ヒューリスティック分析の目的の確認
例:成約率を改善する
・ウェブサイト上のゴールの確認
例:新規ユーザーの獲得
・ターゲット(ユーザー属性)の確認
例:20~30代の女性(※ペルソナ設計を行うとより具体的に分析できます)
・調査するウェブページの確認
例:広告用ランディングページと入力内容確認ページ
・調査する範囲の確認
例:自社+ベンチマークしている競合他社3社
3.調査内容を確認する
続いてヒューリスティック分析に際して調査内容を検討します。
先ほどお伝えした「ニールセンのユーザビリティ10原則」を参考にして作成することが基本になります。
10原則をそのまま使うと大きく2つの問題が発生します。
1つは項目の優先順位が付けられていないため比較がしにくいこと、もう1つはあなたのウェブサイト(ウェブページ)で必ずしも必要でない項目が含まれている場合に無駄な分析を行ってしまうことです。
例えばあなたがヒューリスティック分析を行う上でユーザーの成約率を改善するためにフォームの離脱率を減らすことを目的にしていたとします。
その場合、「8.最小限で美しいデザインを施す」「9.ユーザーによるエラー認識、診断、回復をサポートする」といった項目の優先度は高くなるでしょう。
一方で、「3.ユーザーにコントロールの主導権と自由度を与える」については、確認ページで「戻る」ボタンを追加するなどの施策が考えられますが、そうすると離脱箇所を増やすような設計にもなりかねません。
そのため、目的に沿って評価項目の優先順位を付け、また不要な項目は排除することが必要です。
必要に応じて新たな観点を盛り込むことも考えましょう。
調査対象のウェブページにリスティング広告などで集客している場合、広告文との連動性(広告経由で訪問するユーザーが求めている情報とウェブページ上のコンテンツの連動性)を評価項目として追加することもできるでしょう。
4.調査を開始する
準備が整ったら、いよいよヒューリスティック分析を始めます。
方法はさまざまですが、複数人で調査するメリットを活かす方が効果的です。
まずはそれぞれがウェブページを実際に訪問、使用してみて個別の調査を行います。
その後全体で調査結果を共有する会議を設け、議論しながら課題を抽出していきましょう。
5.解析ツールで裏付けを取る
ヒューリスティック分析での主観的な分析をできるだけ正解に近づけるために、解析ツールでの分析結果も活用していきます。
SiTest を活用する場合、例えばフォームの調査にはフォーム統計やモニタリングが活用できます。
「項目数が多いから離脱しているのではないか」という考察が出てきたとしたら、実際の入力状況を確認することでその信憑性が格段に増します。
反対に「ユーザーがこの要素を読み飛ばしているから成約していない」という考察をしていたとして、実際に SiTest のヒートマップ解析で確認したら滞在時間が長くちゃんと読まれていることが分かるかもしれません。
いずれにしても、ヒューリスティック分析だけではリスクもありますので、ぜひ解析ツールとセットでお使いください。
ヒューリスティック分析はすぐに始められる
ヒューリスティック分析は少人数で特別な施設などを用意しなくても始められるという利点があります。
もちろんウェブサイトに一定以上精通している方でないとユーザビリティの判断は難しいですが、それでもウェブサイトの改善に非常に役立ちます。
ぜひあなたも試してみてください。
それではまた次回をお楽しみに!
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